業界動向レポート
株式会社ジェイエイシーリクルートメントの黒澤フェローが外資系企業の年収についてレポート。
「外資系企業は年収が高いのか?」JACの転職決定年収調査2013
― 第1回 営業職編 「IT業界営業職」 ―
外資系企業は年収が高いのか、この問題は複雑です。しかし、「転職者の決定年収の高低」で見たときには、大きな差がある分野があります。これからそれをいくつか取り上げていきますが、第1回は、IT業界の営業職です。
営業職編 「IT業界 営業職」
JACの統計によれば、2012年の転職決定年収は、図の通りとなっています。これは、実際にJACで転職が決定した方の、理論年収の分布を示しています。
これを見ればわかるとおり、規模の大小を問わず、総合的に外資系企業の方が日本企業に比べて年収が高い金額で転職が決まっていることがわかります。
具体的には、年収の高低での分布の中心的な部分(25%タイル~75%タイル)で比較したとき、大手企業では、458-562万円で決まっている日本企業に対し、外資系企業では605-948万円で決まっており、150~400万円程度の開きがあります。中堅中小企業では、同じく、365~480万円に対し、470~713万円で、100-200万円程度の開きがあります。
この背景には、通常のスキルに加えて英語での業務スキルが必要という語学要因や、外資系企業で高い職位の決定が多いといった職位要因などが背景にあります。また、もちろん、転職時の年収がすべてではなく、その後の推移も重要です。
さらに、決定年収同士を比較していますので、同じ人物がこれだけ違うオファーを受けるということも必ずしも表してはいません。しかし、どのあたりでマーケットが成立しているのか(流動性)ということから、高い年収で転職しやすいかどうかはわかります。
「高い年収での転職」というテーマを考えたとき、IT業界の営業職に関しては、外資系での可能性が大きく広がっているということが、この結果から改めて確認できるでしょう。
黒澤 敏浩(くろざわ としひろ):フェロー
株式会社ジェイエイシーリクルートメント/グローバルホワイトカラー中途採用マーケット分析の第一人者。JAC Recruitment Group各国から集計したグローバルな中途採用関連データに基づくリアルな分析が各方面で好評を博している。当社においてリクルートメントコンサルタントを経て人事・事業企画などを担当し、現職。
・早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員
・日経・CSISバーチャルシンクタンク第2期フェロー
・日本証券アナリスト協会検定会員
・GCDF-Japanキャリアカウンセラー
『人事マネジメント』『人事実務』『化学経済』『賃金事情』等に執筆・連載多数。
『日本経済新聞』『日経ビジネス』『アジア・マーケットレヴュー』『日経エレクトロニクス』『日経ビジネスアソシエ』等にも掲載。
採用実績年収のみで作成され評判の『JAC Salary Analysis』の編集責任者。